プリント基板設計・シミュレーション

TOP > アポロレポート > コラム > 第13回 プログラミングについて 『休題閑話 ...』
コラム
2022/08/19

第13回 プログラミングについて 『休題閑話 ...』

アポロレポート

『休題閑話 ...』


 人間だれにでも1つはこだわっているものがあるものです。納豆とマヨネーズの組み合せにこだわる人、ご飯にあんこを乗せて食べる人(私の父です)、バスのいちばん後ろの席にこだわるひと、グンゼのパンツにこだわる人様々です。言ってしまえば好き嫌いのなれのはてみたいなもので愚にもつかないものなのですが、私にもコンピュータを使っていて1つだけ譲れないものがあるのです。それが、キーボードのスペースバー。
もともと私はまじめにキータッチの練習などしたことがないので、今でも全くでたらめに軽快に手ばかりを動かしているのです。手の位置が一定していないから、スペースバーが短いと一発でヒットしなかったり、隣のキーを押してとんでもないことになってしまうのです。
 だから時々テレビなどでキーパンチャーのお姉さんがキーを打っているのを見たり、私の横でこの原稿の手直しや間違いを直してくれる美しいお姉さんの軽やかな指の動きをみていると、思わず噛じりつきたくなってしまいます(別の意味でそう思うのかも知れませんが....)。そういう私にとってスペースバーの短いキーボードは仇敵以外の何ものでもないのです。
 IBMが日本向けにPCを出し始めたことがきっかけで、DOS/Vとその互換機がそれまでの日本のパソコン市場を一変させました。何が変わったかというとパソコンのスペースバーが短くなってしまったのです。そしてそれが当たり前なことになってしまったのです。DECの端末で昔VT100というものがあって、このキーボードのスペースバーは長かった。そしてこのバーの両脇にはなにもキーは付いていなかったのです。
 というわけで、私はパソコンといえばスペースバーの長いPC98を使っているのです。98にこだわっているのは本当にこの1本のバーの長さが原因なのです。

 以前こだわっていたのがFORTRANでした。15年ほど前は主だったプログラミング言語といえば、FORTRAN、COBOL、PL/I、BASICぐらいしかありませんでした。BASIC以外の言語は学校の授業で(情報処理関係の科ですが)普通に習うもので、私は選択科目でFORTRANを受講したことがありました。その頃は特別にコンピュータなどには興味を持ってもいませんでしたので、単位さえとれればそれでよかったのですが、以前もお話したように就職してからVAX/VMSと出会ってから一変しました。この計算機のFORTRANコンパイラは計算機の導入のとき、「プログラムを書くことも少しは必要かも知れないから、とりあえず構成に入れておこう。」といった気軽な感じで購入したらしいのですが、この安易な考えが私の人生までも一変させてしまったのです。
 「やっぱりFORTRANだぜ」と他の言語のことも知らないで勝手に思い込み、この言語に熱中しはじめたのです。もっともVAX用のコンパイラは数百万から一千万程度もしましたから、たのコンパイラを買ってくれなどと会社には言えませんので、必然とこの言語を使わなければならなかったのですが....。どの言語もそうなのですが、この言語に慣れ始めるとだんだんとのめり込んでいきました。私の部署以外でプログラムを作っている人達は機械への組み込み用のソフトを開発でしたので、アッセンブラが殆どでしたがC言語やPASCALなども使うようになっていました。そのような人達にはきっと過去の遺物のようにFORTRANが見えたに違いありません。「いつまでそんな言語を使っているんだ」などと言われ、他の言語の良いところを説明されるたびに恐縮しているしかありませんでした。その悔しさをなんとか吹っ飛ばそうと、FORTRANの持っている可能性を追求しているうちに更にのめり込んでいったのです。結果として分ったことは、メモリーの消費量は大きいけれども、この言語で書けないプログラムはないということでした。
 時代はどんどん変化してゆきます。やがてワークステーションの台頭が始まりダウンサイジングという言葉が熱病のように流行し始めるようになりました。私のいた部署の上司が変わり、UNIXとCという言葉が連日のように頭上から降ってくるようになりました。VMSとFORTRANで生きてきた私には、UNIXとCという言葉ほど嫌いな言葉はありませんでした。今から思えば新しいものを覚えるのが嫌だったのだと思います。雑誌にはVAXもVMSもFORTRANもどこにもそんな字はのっていません。どのページをめくってもSUNとUNIXとCばかりです。こうなるとただただ頑固になって自分の世界を閉ざすようになってしまいました。
 入出力の機能を持たず、文字列が配列でそれも0から始まって、整数がオーバーフローしても平気で動作し、予約語があり、空白が意味を持っていて、大文字と小文字が区別されるすごくいい加減な言語であるCはとにかく嫌いでした。

 時が流れてやがて会社が変わったとき、だいすきなVAXとVMSとFORTRANと決別することになりました。作り上げてきたものも、守るべき財産もなくなると人間は変わってしまうものなんですね。いまではUNIXはだいすきでC言語がなくては生きてゆけなくなってしまったのです。DOSの小ささも好きで、Windows(3.1)の不安定さも嫌いではありません。C++だっていまではWindowsのアプリ
ケーションを書くときにはなくてはならない言語となっています。
 今後はWindows95やNTに時代がシフトしてゆくみたいで、ソフト屋の私もそれにともなってだんだんとシフトしていくようです。最近はあまりOSや言語にはこだわりは持たなくなっています。最近のBASICはかなり良くなっていますので、いつかはこの言語もコンパイラを買ってもらって使ってみたいとも思っています。

 こだわるものは立場と環境によって変わってきましたが、キーボードのスペースバーの長さだけは今でもそしてきっと将来もこだわり続けていると思います。

 最後に一句

 割り切れぬ こだを割るのも こだわりか

 失礼しました。


そのお悩み、
アポロ技研に話してみませんか?

アポロ技研でワンランク上の物創りへ!
そのお悩み、アポロ技研に話してみませんか?